Little AngelPretty devil 〜ルイヒル年の差パラレル

    “明日はハロウィン”
 


10月初め、体育の日よりも前の頃合いのお話に、
高校生アメフトの秋季関東選手権大会・準々決勝と
日程がかぶるような描写をしておりましたが、
調べてみましたところ、
今年のは、準々決勝は10月30日に4ゲーム一気、
アミノと駒場で2試合ずつ催されるそうで。
ちなみに、準決勝は11月6日、決勝は11月23日。
天下分け目のクリスマスボウルは、12月23日だそうです。
もひとつちなみの、大学リーグの方は、
10月26までに首位を決め、関東リーグ1部の決勝は11月27日、
北日本の代表との決戦で東日本代表を決するのが12月4日。
また、各リーグの入れ替え戦は12月10日・11日だそうです。



     ◇◇


日付満載の枕ですみませんねぇ。

 「要はアレだろ?
  そんな話を先に書いたけど、
  実は、高校アメフトはまだ終わってねぇぞって言いたいんだ。」

そういう揚げ足取りはよくないぞ〜…って、
まあ、そういう展開も、今更な話ですけれどもね。
という訳で、
子悪魔坊やには因縁の
“マイムマイム”をしぶしぶ踊った運動会も
先日無事に終わったというに。

 「……それをまだ言うか。」(怖)

金茶の目許も白い小鼻も 何とも可愛らしいお顔で、
そんなおっかない三白眼になるもんじゃありません。
だって、アレは結構おいしいネタだった…じゃあなくて。
そんな坊っちゃんたちの行事にかぶることなく、
そして勿論、全力尽くして勝ち抜き続けたその結果。
葉柱のお兄さんたちも、
準々決勝へと無事辿り着けていたんだったりし。

 「しかも、余裕で大勝利と来たもんで♪」

タイムアウトの試合終了を告げるホイッスルとほぼ同時、
きゃっほーいっと 文字通り飛び上がった子悪魔くん。
今日はそういうイベントデーでもあったのでということか、
手には三叉の鉾
(ほこ)
ふわふかな金髪頭へは、牛を思わす角つきカチューシャを装備していて。
細っこい首を強調するハイネックなスムースカットソーも、
矢印しっぽつきの半ズボンも漆黒という、
はっきり言って立派なコスプレ中。

 「…バイキンマンか?」
 「悪魔だよ。」

言うと思ったよと、
塩ビの側生地の中は綿入りか、
当たっても痛くはない安全おもちゃの矛を振り回す子悪魔様なのへ、

 「そんなもん、いちいち化けんでも本性だろうが。」

長身なキャプテンさんがぽろっと言ったその途端、
あ〜あ〜あ〜、わざわざ言わなくともと、
周囲のチームメイトの皆様が首をすくめたその間合いへ合わせ。
ご期待に応えてということか、

 「なら、悪魔の祝福をくれてやるっ!」
 「あだだだ…☆ 判った判った、勘弁だ。」

鉾の乱打が5発ほど、
総長様の黒髪のっけた頭へ飛んだのは言うまでもなかったそうですが。

  ……よいこは真似しちゃいけないよ?
(苦笑)

くどいようだが、本日は10月30日の日曜日。
時々不意打ちのように
真夏日へと迫るほど暑い日も襲った10月だったが、
今日はさすがに、曇天なこともあってか やや肌寒い1日で。

 「そ〜んなカッコじゃ寒かろによ。」

ベコベコベコと叩かれて、すっかり乱れた髪のセットを直すより、
ノースリーブに半ズボン、しかも素材も薄手で体のライン出まくりという、
妙にせくしぃな、つまりは露出の多いカッコの坊やへの気遣い、
ほれと葉柱さんから差し出されたのが、
グラウンド用の大きなフィールドコートであり。

 「サンキューvv」

興奮して応援していたゲーム中はともかく、
激高も引いた今は 実は少々寒かったものか。
喜々として受け取った鬼コーチ殿、
遠慮なくという自然な所作にて、
前合わせをばっさと開くと小さな肩に羽織ったもんの。

 「………ルイさんルイさん、
  あのカッコの方が危なくないっすか?」

 「ああ"?」

何しろ寸法が合ってないのは当たり前、
体の厚みも足りずのぶかぶかで、袖も余るし肩も落ちてる。
だがだが、そんな箇所より 一番の問題は、
悪魔コスプレの割に、
足元はショート丈のモコモコブーツをはいてる彼であり、
そんな小さなあんよとそれから、
何とも華奢な御々脚が、膝下から下だけ覗いており。

 「超ミニはいてる女子が、
  コートの前を止めないでいるのは どうしてか判りますか?」
 「知らねぇよ。寒くねぇからじゃねぇのか?」

知らぬと言いつつ応える律義なリーダーなのへ、
居合わせた内の何人かが ぶんぶんぶんとかぶりを振って見せ、

 「バランスが悪いせいもありますが、
  コートの下に何もはいてないような
  そんな見栄えになっちゃうからなんですってば。」

  ………はい?

そぉかなぁ〜?と、突拍子もない見解へ胡散臭げに眉を寄せる葉柱へ、

 「……まあ、みんなが皆そうとも言い切れませんが。」

言い切るのは危険と思い直したか、そんな訂正が入ってから。
だがだが、
言われた考えようをフィルターとして付け足してから、

 「………………………。」

膝下まで至りそうなフィールドコートも長々とした裾の下から、
すんなり覗く華奢な御々脚なのへと注目してみた葉柱としては。

 「………妖一。」
 「? なんだ?」

 足元も寒そうだ、レッグウォーマーか何かねぇのか?
 何だよ、そんな言うならとっとと帰ろうぜ。

ドリンクポットやタオルの山、
ストップウォッチや記録用のバインダー各種などなどを
先に移動用バスへと運んでいたマネージャーの面々と、
可愛い子ぶりこで 何やらご陽気そうに話していたのを引きはがし、
そんな風に水を差した総長さんだったのは、果たして、

  @寒そうな姿にいても立ってもいられなくなったから。

  A女子マネたちとの睦まじさにちょっぴり妬いたから。

  B少し遠目から、カメラを向けていた不届き者がいたから。


 「え? そんな不埒な奴がいたんか?」
 「ルイさん、視力いいからな〜。」
 「でも、自分が隠し撮りされてたのへは無頓着だったよな。」
 「ガンつけには一応、
  喧嘩売ってんのかって からんでたのにな。」
 「いつの話だよ、それ。」
 「もうすっかり昔話になっちまったよな〜。」
 「ギンギンに尖ってたのに、今じゃあ…。」

メンバーが見やった先では、
手荷物片手にさっさと引き上げる誰かさんの背中が歩み出しており。
そんな彼のすぐ傍らには、
前になったり後になったりしている小さな存在が、
もはやあって当たり前という感覚で、着かず離れつ寄り添うており。

 「ああほら、チョロチョロしてねぇで帰るぞ。」
 「なあなあ、明日はハロウィンの本チャンやんね?」
 「本チャンってのは何だ。」
 「だから。セナちびとか進とか桜庭とかも呼んで、
  めいめいに仮装してワッと騒ぐんだよ。」

ルイはミイラ男で決定な? 何でそうと決めつける…と、
そりゃあ和気あいあいとした空気のお二人さんが遠ざかっており。

 「……でもまあ、あれはあれでいいと思うぞ。」
 「う〜ん、まあな。」

穏やかそうに…時折微笑っては、背丈の低い連れを見やる総長殿と、
日頃は油断も隙もないこと忍ばせ、虎視眈々と輝いてる目元、
今だけは無邪気にたわめ、きゃははと笑み崩れる小さな坊やとで。
なかなかに心休まる構図を成しており。

 「今年こそ、頂点 行かにゃあな。」
 「まぁな。」

さして熱気のこもった言いようではなかったけれど、
それでも皆して思ったのは、
あの二人をもっともっと嬉しそうに笑わせてやりたいという同じ夢。
さあ、あと2つだと、顔を見合わせる彼らへ、
今日のところはとりあえず、ゆっくりしたまえ若人たちよと。
赤くなったハナミズキの葉が梢からはらり、
舞い降りて来た、秋の昼下がりでございます。




   〜Fine〜  11.10.30.


  *葉柱さんと某剣豪のハロウィンのコスプレは、
   どこでもミイラ男ばっかなのが笑えますvv
   でもサ でもサ、何で体格でバレなかったんだろ。
   腕が異様に長いってことで出て来た人だし、
   アニメではルフィ並みに伸び縮みさせられてたのにねぇ。
(笑)

ご感想はこちらvv めーるふぉーむvv

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